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英DECCA 443 324-2 CD, (P)(C)1995
Saint-Saens : Violin Concerto No. 3
Respighi : Concerto Gregoriano & Poema Autunnale
Pierre Amoyal(violin) -
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Charles Dutoit -
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Orchestre National de France
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レスピーギのグレゴリオ聖歌風協奏曲の本命盤・・・といえばこの演奏だと思うが、残念ながら既に入手困難となっているようだ・・・米アマゾンでもマーケット・プレイスで1枚出ているだけだし・・・1993年の録音、1995年発売のCD・・・15年近く前のCDだから仕方ないのかな?ついこの間新譜で買ったように思っていたのだが・・・
グレゴリオ聖歌風協奏曲はレスピーギの自信作だったようだが、「秋の詩」と同様、ほとんど忘れ去られていた作品のようで、1990年代に入るまで殆ど演奏されていなかったのではないかと思う。
LPではまず見かけないし。手元にあるCDで最も古いのは、NUOVA ERA2238(1968年録音 Uto Ughi(violin), Mario Rossi/Orchestra Sinfonica di Torino della RAI)だが、これはライヴのエアチェックによるプライヴェート音源のようで音質は劣悪。
1980年代に入り、Malco Polo がこの曲を取り上げた↓。
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1990年代になってようやくリバイバルの機運が高まったのか、Chandos が積極的にレスピーギの曲をカタログにし出し、この曲もそのカタログに加わった↓。
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で、今回取り上げる英DECCA盤について、Amoyal, Dutoit とこの曲を前述のChandos 盤とそう変わらない1993年に収録している・・・が、リリースはその2年後の1995年・・・まあ、メジャーレーベルでは珍しいことではないだろうが・・・。どちらかというと、サン=サーンスの方がメインかもしれないなあ・・・
グレゴリオ聖歌風協奏曲は曲名の通り、「グレゴリオ聖歌」風の主題によるヴァイオリン協奏曲であり、往古の旋法に近代管弦楽法の衣を被せた「温故知新」の Respighi ならではの傑作。ちなみに、レスピーギをグレゴリオ聖歌に注目させたのはエルザ夫人だそうな・・・彼女も作曲家であり、レスピーギ未完のオペラ「ルクレツィアの陵辱」を補筆完成させたのも彼女である。
弦楽セクションの儚いppから始まる幽玄さに満ちた導入部、そして何故か懐かしさを感じさせる旋律をオーボエが奏でると、中世へタイムスリップしたような錯覚を呼び起こされる。
1楽章に続けて演奏される2楽章はグレゴリオ聖歌の美しいァイオリンソロから始まり、ヴァイオリンとオーケストラがメロディーをリレーのように引き継いで演奏する作りとなっており、この協奏曲の一番の聴き所。
勇ましく始まる3楽章は何故か中華風?の妙な雰囲気が醸し出されてしまうが、これは旋法によるものだろうか・・・
Amoyal と Dutoit 、そしてフランス国立管弦楽団による演奏はツボにはまっているというか、これ以上の演奏は考えられない・・・といった出来。これが実演で聴けたらなあ・・・
残念なのは「秋の詩」。素人でも分かる致命的なミス(7曲目の5:40前後)が修正されないままCD化されているという「珍演奏」でもある。Amoyal もなんとなく弾きにくそうに感じる・・・「グレゴリオ聖歌風協奏曲」で聴かせた美演はどうした?と言いたくなるような出来である。
プロデューサーやアーティストがこんな演奏をO.K.したことが信じられない。こういうミス・テイクは差し替えて然るべきだが、セッションの時間が無くなって録り直せなかったのか・・・全く持って残念なことではある。
では。
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